このページについて
行動面や情緒面の困りごとは、お子さんからの「助けて」のサインかもしれません。行動の背景にある気持ちや理由を理解し、適切な表現方法を一緒に見つけていきましょう。
よくある行動・情緒の困りごと
注意・集中の困りごと
- じっと座っていられない
- 注意が散りやすい
- 忘れ物が多い
- 衝動的に行動してしまう
情緒の調整
- 癇癪を起こしやすい
- 感情の切り替えが困難
- 不安になりやすい
- イライラしやすい
社会的行動
- ルールを守るのが困難
- 順番を待てない
- 他者との距離感が分からない
- 場面に応じた行動ができない
行動支援の基本原則
ABC分析で行動を理解する
- A(Antecedent:きっかけ):その行動の前に何があったか?
- B(Behavior:行動):具体的にどんな行動をしたか?
- C(Consequence:結果):その行動の後に何が起こったか?
この分析により、行動の理由や目的を理解し、適切な支援方法を見つけることができます。
🛠️ 具体的な支援方法
注意・集中力の支援
環境調整:
- 気が散るものを取り除く(おもちゃ、装飾など)
- 静かで落ち着いた空間の提供
- 座席の位置を工夫(前方、窓から離れた場所)
活動の工夫:
- 短時間で区切った活動
- タイマーを使った時間の見える化
- 動きを取り入れた学習
- 興味のある題材から導入
情緒調整の支援
感情の理解:
- 感情の名前を教える(怒り、悲しみ、喜びなど)
- 感情カードや表情カードの活用
- 「今の気持ちは?」の確認習慣
セルフコントロール:
- 深呼吸やカウントダウンの練習
- クールダウンできる場所の確保
- 気持ちの切り替え方法の練習
- ストレス発散方法の確立
行動のルール作り
視覚的支援:
- 行動のルールを絵や写真で示す
- スケジュール表で見通しを立てる
- チェックリストで達成感を味わう
段階的な指導:
- 簡単なルールから始める
- できたことを積極的に褒める
- 失敗しても責めずに再チャレンジ
家庭でできる行動支援
📅 日常生活の構造化
- 一日の流れ:起床から就寝までのルーティン化
- 視覚的スケジュール:絵カードでその日の予定を確認
- 時間の見える化:タイマーや砂時計の活用
- 準備の手順:身支度のチェックリスト作成
🎁 効果的な褒め方
- 即座に褒める:行動の直後に
- 具体的に褒める:「何が良かったか」を明確に
- 過程を褒める:結果だけでなく努力も認める
- 非言語でも表現:ハイタッチ、笑顔、拍手など
🚨 パニック時の対応
- 安全確保:怪我をしないよう環境を整える
- 静かに見守る:過度な刺激は与えない
- 落ち着いてから話し合い:パニック中は説得しない
- 予防策を考える:きっかけを分析し対策を立てる
避けたほうがよい対応
- 感情的に叱る:冷静さを保って対応
- 体罰や威圧:恐怖は根本的解決にならない
- 否定的な言葉の連発:「ダメ」「やめなさい」ばかりでは改善しない
- 他の子との比較:その子なりの成長を認める
- 完璧を求める:小さな進歩を大切に
年齢別の支援ポイント
幼児期(3-6歳)
- 遊びを通した自然な学習
- 短時間での活動切り替え
- 具体的で分かりやすい指示
- たくさんの成功体験
学童期(6-12歳)
- ルールの理解と実践
- 自分なりの工夫方法を見つける
- 友達関係での困りごとサポート
- 学習と行動の両面支援
思春期(13歳以上)
- 自己理解の促進
- 自分なりのコントロール方法確立
- 将来への見通しと目標設定
- 自立に向けたスキル習得
専門的な支援について
以下のような場合は、臨床心理士や専門医にご相談ください:
- 家庭や学校での対応だけでは改善が困難
- 自傷行為や他害行為がある
- 日常生活に著しい支障をきたしている
- 二次的な問題(不登校、うつ状態など)が生じている
- 薬物療法の検討が必要な場合
5種類の困りごと別支援情報をご用意しています