注意・集中の困りごと

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注意・集中の困りごとは、脳の発達特性に関連することが多く、適切な環境調整と支援によって大きく改善できます。お子さんの特性を理解し、その子に合った集中しやすい環境や方法を一緒に見つけていきましょう。

よくある注意・集中の困りごと

注意の持続困難

  • 長時間同じことに集中できない
  • すぐに他のことに気が向く
  • 話を最後まで聞けない
  • 作業を途中でやめてしまう

注意の選択困難

  • 必要なことに注意を向けられない
  • 複数の刺激があると混乱する
  • 周りの音や動きが気になる
  • 優先順位をつけられない

衝動性・多動性

  • じっと座っていられない
  • 手足をそわそわ動かす
  • 考える前に行動してしまう
  • 順番を待てない

忘れやすさ・整理困難

  • 忘れ物が多い
  • 物をよくなくす
  • 整理整頓ができない
  • 約束や予定を忘れる

🧠 注意・集中のメカニズム

注意機能の3つの要素

  • 覚醒・警戒機能:目覚めていて、注意を向ける準備ができている状態
  • 選択的注意:必要な情報を選んで注意を向ける機能
  • 持続的注意:一定時間注意を保ち続ける機能
  • 分割的注意:複数のことに同時に注意を向ける機能
  • 転換的注意:注意を別のものに切り替える機能

🛠️ 環境調整による支援

学習環境の整備

物理的環境:

  • 気が散るものを視界から取り除く(掲示物、おもちゃなど)
  • 机の上は必要最小限のものだけ
  • パーティションで個別空間を作る
  • 静かで落ち着いた色調の空間

座席の配置:

  • 教師の近くの席
  • 窓や廊下から離れた席
  • 集中しやすい友達の近く
  • 出入り口から離れた席

感覚環境の調整

聴覚環境:

  • ノイズキャンセリングヘッドフォンの使用
  • 耳栓で余計な音をカット
  • 集中しやすいBGM(自然音、ホワイトノイズ)
  • 静寂時間の設定

視覚環境:

  • 照明の調整(明るすぎず、暗すぎず)
  • 色の刺激を減らす(モノトーンベース)
  • 視覚的手がかりの活用(矢印、枠線など)
  • 情報量を段階的に提示

時間管理と構造化

時間の見える化

  • タイマーの活用:作業時間を明確に設定
  • 砂時計:時間の流れを視覚的に確認
  • アナログ時計:残り時間の把握
  • スケジュール表:一日の流れを視覚化

活動の構造化

  • 短時間集中:15-25分で区切る
  • 休憩の組み込み:集中の後は必ず休憩
  • 活動の順序:簡単難しい簡単
  • 達成目標の明確化:何をどこまでやるか

ポモドーロテクニック

  • 25分間集中:タイマーをセットして作業
  • 5分間休憩:体を動かしたり、水分補給
  • 4セット後は長い休憩:15-30分の休憩
  • 記録をつける:集中できた回数を可視化

🎮 注意力向上のトレーニング

🧘 マインドフルネスと呼吸法

基本の呼吸法:

  1. 背筋を伸ばして座る
  2. 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸う
  3. 4秒間息を止める
  4. 口から4秒かけてゆっくり息を吐く
  5. これを5-10回繰り返す

効果:心を落ち着かせ、集中力を高める基盤を作る

🎲 集中力ゲーム

幼児期:

  • 神経衰弱(記憶力と注意力)
  • 間違い探し(視覚的注意力)
  • 積み木やパズル(持続的注意力)
  • お話の聞き取り(聴覚的注意力)

学童期:

  • 漢字探しゲーム
  • 数字並べゲーム
  • 図形パズル
  • 音楽リズムゲーム

家庭でできる支援方法

📅 日常生活の工夫

  • 朝のルーティン:チェックリストで準備の見える化
  • 宿題時間の設定:同じ時間・場所で習慣化
  • 整理整頓の仕組み:物の定位置を決める
  • 睡眠リズムの安定:十分な睡眠で注意力アップ

🎨 興味を活かした学習

  • 好きなことから導入:興味のあるテーマで集中力を引き出す
  • 体感的な学習:手を動かしながら覚える
  • ゲーム要素の取り入れ:楽しみながら集中
  • 達成感の演出:小さな目標をクリアする喜び

エネルギー管理

  • 体を動かす時間:有酸素運動で脳の活性化
  • 栄養バランス:脳の栄養となる食事
  • 水分補給:脱水は集中力低下の原因
  • 疲労のサイン把握:無理をせず休憩を取る

避けたほうがよい対応

  • 長時間の集中を強要:年齢や特性に応じた時間設定が重要
  • 「がんばれ」の連発:具体的な方法を提示することが大切
  • 完璧を求める:小さな改善を積み重ねる
  • 他の子との比較:その子なりのペースを尊重
  • 刺激の過多:情報を整理して段階的に提示
  • 注意散漫を叱る:環境調整や方法の工夫を優先

年齢別の支援ポイント

幼児期(3-6歳)

  • 集中時間:年齢×1分が目安(3歳なら3分程度)
  • 遊び中心:楽しみながら注意力を育てる
  • 視覚的支援:絵カードやイラストで分かりやすく
  • 短い指示:一度に一つのことだけ伝える

学童期(6-12歳)

  • 集中時間:15-25分程度から始める
  • 学習方法の工夫:その子に合った覚え方を見つける
  • 自己管理スキル:タイマーや手順表を自分で使う
  • メタ認知の育成:「今集中できているか」を自分で確認

思春期(13歳以上)

  • 自己理解:自分の特性と対処法を知る
  • 環境選択:自分に合った学習環境を見つける
  • 時間管理:スケジュール作成と実行
  • 将来への活用:進路や職業選択への応用

専門的支援が必要な場合

以下のような場合は、医師や臨床心理士にご相談ください:

  • 日常生活や学習に著しい支障がある
  • 環境調整や支援方法を試しても改善が見られない
  • 本人が強い困り感を抱えている
  • 二次的な問題(自信喪失、不登校など)が生じている
  • ADHD等の医学的な診断や薬物療法の検討が必要

相談できる専門機関

  • 小児科・精神科:医学的診断と薬物療法
  • 発達支援センター:総合的な支援相談
  • 教育相談室:学校生活に関する相談
  • 臨床心理士:心理的支援とトレーニング
  • 作業療法士:感覚統合や認知機能訓練

長期的な視点での支援

注意・集中の困りごとは、適切な支援により改善が期待できます。大切なのは:

  • 特性として理解:「努力不足」ではなく脳の特性
  • 強みも活かす:過集中や創造性などのプラス面も認める
  • 本人のペース:比較せず、その子なりの成長を大切に
  • 継続的支援:一時的ではなく長期的な視点で
  • 自立への道筋:将来的に自分で対処できる力を育てる
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